隠れ宿カレンダー2020【中級編】

【中級編】

隠れ宿の暦注カレンダー2020 中級編となります。ここからは中級なので、少し神様のお話も含めていきますので、少し?説明が長くなります。徐々に読み進めていって下さい。

 

中級 ①  10 39秘宿 と 1 七曜陵逼

まず七曜陵逼というのは  1  行事の欄に書かれています。この七曜陵逼という期間は年に何度か出てきたりします。その年によってですが、頻繁にある年、あまりない年と様々です。2020年1月25日「七曜陵逼始」〜 2020年2月9日「七曜陵逼終」その次は、2020年5月24日「七曜陵逼始」〜 2020年6月26日「七曜陵逼終」となります。このように何度もこのような期間があります。

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この七曜陵逼は元々は宿曜経(密教の経典)に書かれています。密教は仏教に属しますが、暦には仏教を元にするものも存在します。昔の時代は陰陽道の暦、仏教の宿曜暦など、様々な宗教暦が存在していました。昔なら陰陽道の暦に宿曜経の事を書いたりできませんが、いまは現代ですので、どちらが良いと言うことではなく、隠れ宿では暦に必要と思われるものを基準としてカレンダーとしております。

 

私たちの世界は、太陽や月の作用に影響されています。海の干潮や満潮など潮の満ち引きは、月の影響であったりと、地球に色々と作用していますが、七曜陵逼の期間は月の作用が弱まり、他の惑星の影響が増してくる期間となります。

 

例えば、10番の39秘宿に出てくる「命、栄、衰、安…」など、カレンダーに書いてあるものは、太陽系にある星々を意味しています。

 

命宿は、惑星なら羅睺星、神は黄幡神
栄宿は、惑星なら土星、神は歳破神
衰宿は、惑星なら水星、神は歳刑神
安宿は、惑星なら金星、神は大将軍
危宿は、惑星なら太陽
成宿は、惑星なら火星、神なら歳殺神
壊宿は、惑星なら計都星、神は豹尾神
友宿は、惑星なら月、太陰神
親宿は、惑星なら木星、神は太歳神

 

???羅睺星?計都星?聞き慣れないというか、読み方が分からない星があると思います。羅睺星(らごう)は太陽が移動する時に交差する地点で起こる、日食や月食を意味する星です。計都星(けいと)は宇宙を飛来する隕石、彗星を意味する星です。

 

本来、月の作用が通常期間の場合は、そのままの解釈でいいのですが、七曜陵逼の期間は月以外の星の影響が大きくなるため吉凶が逆転してきます。更に吉日と悪日が逆転するだけでなく、今後の障害のきっかけを作る、6つの大悪日が含まれてきます。

 

例えば、命宿は六害宿となり、羅睺星(黄幡神)の影響が強くなります。安宿は「意宿」という六害宿となり、金星(大将軍)の影響が強くなります。話が専門的になりすぎるので細かい意味はともかくとして、七曜陵逼の期間は、通常期間とは違うと理解してみて下さい。

七曜陵逼の間は、自然災害などの被害も大きくなりますので、注意が必要となります。例としてあげれば、2019年11月末〜12月12日は七曜陵逼の期間となっております。その期間中の2019年12月9日に発生したニュージーランドのホワイト島の火山噴火では、複数人の方が亡くなられてしまいました。自宅に居る時ははもちろんですが、旅行などの時にも、大雨なども含め、自然災害の危険性のある場所などにいる場合は、特に注意してみて下さい。

 

また占術上の解釈となりますが、この七曜陵逼の期間に生まれる子供は、男性と女性の両方、2つの魂を持って生まれてきます。持って生まれた子供の才能は2人分です。男性でも女性の魂をもち、女性でも男性の魂をもっています。

 

まず通常期間の39秘宿の意味です。

○命:凶日:宿命に翻弄される日。星の影響により感情の起伏が激しくなります。諸事に控えめにして、何事も慎重にする。重要な決断は避ける。物事を始めてはいけない。今後の計画を立てるのが良い。できるだけ礼儀正しく、言動は慎重にする。身辺整理をして身だしなみを整えるのが良い。

○栄:大吉日:記念的な行事に適した日。心を切り替える。仕事始め、目上との吉縁がある、新しい事をする、入門する、法事を行うのに良い。この日初めての縁は吉祥をもたらします

○衰:平日:体調が崩れ、不愉快な日。大切なことは行わない。後に利益が上がるので商売を頑張る、また多少の出費をしても自分を楽しませると良い

○安:変化日:変化する、流れが変わる日。方針転換に用いると良く、旅行や転居、家屋の修理を始めるが吉。辞職、退職、男女分かれなど、縁切りに適した日

○危:吉凶半々日。研究や学問を学ぶ、芸術や宗教的なものが吉。選択を迷ったら、それはやらない方が良い日。礼儀、言葉のトラブル、怪我に気をつける。

○成:小吉日:苦を解放する日。達成成就の力が強い。学問始め、薬の調合、神仏を学ぶ、祈願に良い。この日に始めると将来実を結ぶ。困り事の解消や相談に良い。

○壊:大凶日:吉縁がなくなり、悪縁がつく日。吉縁の人が亡くなる日。この日に初めて出会うものは悪縁。家で静かに過ごすのが無難な日。悪縁を切るには最適。 

○友:中吉日:気分良く過ごす日。プライベートな事、レジャー、友人と交わる、新しい友人を作るなど、対人関係やレジャーに良い日

○親:大吉日:吉を呼び込む力の強い日。友人と交わる、新しい友人を作るなど、対人関係やレジャーが良い日。連絡が取れない人には、この日に連絡取ると良い

○業:吉日:前世にまつわる事が起こる日。生活の切り替えの日。心を安らかに、優しい気持ちで過ごすと良い。持って生まれた前世の悪行を清める為、善行功徳をすると良い。

○胎:凶日:生まれ変わりの日。諸事に控えめに、消極的な態度をとり、体調に気をつけて、物事を始めてはいけない。始まりの運気なので、無理をすると体調不良となる。

 

次に七曜陵逼期間の解釈です。

○命:悪日:命の危険に注意する日。諸事控えめに、無心無欲、礼儀正しくするとよい。

○栄:凶日:出る杭は打たれる日。派手な行動は控えて、地味な努力をするとよい。 

○衰:吉日:達成成就の日。

○安:凶日:運気不安定な日。達成しそうな事が破れる。物事は積極的に進めない方が良い。

○危:吉日:達成成就の日。

○成:凶日:求める事が成就しない日。

○壊:吉日:達成成就の日。

○友:凶日:人間関係に問題を生じる日。人と対立しないようにする、詐欺に注意。

○親:凶日:人間関係に問題を生じる日。人と対立しないようにする、詐欺に注意。

○業:悪日:何事も成就しない日。いかなる行動も成就しない。前世の悪行が現実化するため、欲を捨てて善行功徳を積むと良い。

○胎:悪日:何事も成就しない日。邪悪な人や出来事に出会う。神社仏閣でお祓いをしてもらうと良い。

○害:大悪日:今後の災禍、障害など諸災害の縁を作ってしまう日。重要事項の決定、契約、移転、旅行、金銭貸借、是非の争論、投資、土地の売買をしてはいけない。

 

39秘宿の解釈ポイント

1、通常と七曜陵逼の2つの期間がある。

2、七曜陵逼に入っている時は吉凶が逆転している。

このように解釈が変わると考えてみてください。

 

中級 ②  4 太歳 と 凶會日

カレンダーの  4  の欄に書かれているのが太歳神となっております。太歳は一年を統括する神様で、会社で言えば社長みたいな偉い役職の方と同じですね。カレンダーに書かせていただいた説明を記載してみます。

 

賀茂在方公の残された「暦林問答集」曰く、太歳神は「木星の精」で、天と地を行き来しながら万物を観察して、この世の全てを統括する神様と書かれています。その為、逆らう者は滅ぶと言われていて、太歳神がいる方位(2020年は子方位)で凶事(争い事)や軍隊を出して敵と戦うなどは禁止されています。もし禁止事項を破ると疫病にかかります。太歳神東宮殿で玉女神とお会いしている時は「太歳対」と言い、南門を開いて人間世界の神々を集める時を「太歳前」といい、西の広寒殿に四空四禅の六欲諸天の天王や天人大衆が集まり仁王斎会している時を「太歳位」、北門を開いて五道冥官が出入りしている時は「太歳後」と言います。

また太歳神は宮殿を離れて冥土の死出山と三途川の間にある二十四の刀剣の林(鉄でできた木)に移動します。この刀剣の林の事を凶會(くえ)といい、この刀剣の鉄樹に花が咲くとき、天上天下の神々、冥官冥衆が集結します。そこで太歳神が神々と「太歳会(たいさいえ)」を行います。その日のことをを「凶會日(くえび)」と言っています。要するに「凶會日」は、全ての神ではありませんが、この世あの世の神々の多くが出払っていて、助けてくれる神様が少なくなっています。その為に暦では、悪日(注意日)の一つとして扱われています。

 

要点で書けば、太歳という神様は宮殿より、東、南、西、北と5つの場所、それ以外に冥土(あの世)に移動します。それらを「前後対位」「凶會」と言っています。

東宮にいる時は「太歳対」

南門を開く時は「太歳前」

西宮にいる時は「太歳位」

北門を開く時は「太歳後」

冥土に行く時は「凶會日」

という名前になります。

 

「太歳対」将来の事や、異性の事を考える期間

「太歳前」仕事を頑張る、レベルアップの修行をする期間

「太歳位」目上を立てる、自分の立場や役割を果たす期間

「太歳後」健康を気にする、子供など下の人を助ける、掃除して生活にする期間

「凶會日」24の禁忌があり、それぞれの意味が違います。説明は毎月のカレンダー下部にありますので、そちらを参考にしてみて下さい。

 

中級 ③  21 地神 22 地神吉凶

地神の項目は、土を掘ったりしても良い時期なのか書いてあります。暦で使う、起土吉日、犯土吉日、閏月、土用、五墓日など、土にまつわる神様で判断しています。土を掘る、地鎮祭、建物の土台となる基礎工事をする場合に判断基準にしてみてください。吉凶は前にも書きました 🔴⭕️ を使用します。

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中級 ④  23 土公神

次に土の神様は、23 土公神、24 土府神と呼ばれる土地を司る2神となります。土の神のいる方位では、土を掘る、土木工事を行う、建物の土台となる基礎工事など、土に関係する、土を掘る事で災いが起こるとされています。中級③で吉凶が⭕️などになっていても、23土公、24土府の場所は災いを被りますので、扱えない場所となります。では、それぞれの2神の内容を見ていきましょう。

 

土公神は  季節  でいる場所を変えていきます。では、いつが季節の変わり目なのかという事ですが、季節の変わり目というのは、24節気の四立日で判断します。四立日とは、立春立夏立秋立冬の4種類の立つ日です。土公神の在位(神様がいる場所)は、立春より台所、立夏より門や門扉、又は入り口(家の周りの外構も含む)、立秋より水道や井戸、立冬より庭にいます。神様のいる場所は騒がしくしないのが鉄則ですから、リフォームなど工事は避けておくと良いでしょう。

 

例えば、立春立夏になるまでは、台所(火に関するところ、ガスコンロ等)の周辺をウロウロ?しています。小さな土公神と小さな火の神様が台所の所で仲良く座っていて、お神酒を2神で楽しく飲んだり、お供物してもらったものを分け合って食べたり、「娘さんが小学校に行き始めたね」とか、その家に住んでいる家族の事など、色々なお話をしているようなイメージです。夏なら、土公と道路の神々と一緒にいて、秋なら水の神様と、冬なら木の神様と一緒にいて、春になったら樹木が顔を出すように庭で木の神様と話をしたり、来年の立春以降の春のことを話し合っているような感じです。立春立夏など土公神のいる場合はわかられたと思いますが、移動する時期がいつ頃かです。

 

立春  2月4日前後 から竃(台所)

立夏  5月6日前後 から門扉

立秋  8月8日前後 から井戸(水道)

立冬  11月8日前後  から庭

年により多少のズレはありますが、四立日は大体この時期になります。

 

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土公神は、もう一つ説明があります。1月29日の 23 土公神在位をみると、悪となっています。月に数日このようになっています。これは「土公出入依居座、大土小土事」 に書かれていますが、これは土公神が動くことによって吉凶が変わるものを表しています。

 

例えば土公神は、春の戊寅の日から6日間は青帝青龍王の居る東宮殿へ行っていて、この時期を暦では 小土吉日 と言います。この期間は土を掘ったりしても大丈夫となりますが、その後、土公神は青龍王(青帝)の宮殿から移動して、甲申の日に本宮へ戻ってきます。そのため甲申の日より10日間は 大土悪日 となり、土を掘ったりしてはいけない期間となっていたりします。その後、夏は赤帝赤龍王の宮殿、秋は白帝白龍王の宮殿、冬は黒帝黒龍王の宮殿へ行ったりします。それにより、吉日と悪日と吉凶が変わってきます。

 

カレンダーでは、大土吉日、小土吉日はピンク色で吉となっていて、大土悪日、小土悪日を グレー色の悪 と表示してあります。

 

中級 ⑤  24 土府神

次は「土府神」です。土府神は  毎月  いる場所を変えていきます。どの場所かは、カレンダーの地神に十二支で表示してあります。そこに書いてある方位の土を取る、その方位の工事をする、その方位に引越すと、色々な災いとなるので注意が必要です。方位は下記をご覧ください。

 

子=北  

丑=北北東  

寅=東北東  

卯=東

辰=東南東

巳=南南東

午=南

未=南南西

申=西南西

酉=西

戌=西北西

亥=北北西

 

子は、子孫に災いが起きます。

丑巳午酉は、家長が亡くなります。

寅卯未戌亥は、子供の死亡することが起きます。

辰は、家畜やペットに被害が出ます。

申は、大凶(ありとあらゆる災難)

と書かれています。

 

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例えば、1月15日を見てみると、

地神 ◯ 

土公神在位  なし

土府神在位  子

となっています。地神は  なので、土木工事は大丈夫な日です。また土公神は何も書いていないので土地の中に戻っていると解釈して、地上のどの場所にもいませんから工事は大丈夫です。

しかし、土府神は 子 とあるので、北の方位で土地に関する工事はダメだと判断します。もし子の方位で工事をすると、土府神の怒りに触れて、子孫(子供や孫)がのちに災いとなります。このように判断してみて下さい。

 

上記の1月15日の例で言えば、子(北方位)以外は土の神様がいないので、子以外は特に問題はありません。子方位以外は、どの場所でも、何時でも自由に動いてもらって大丈夫となります。

 

あとカレンダーの土府神在位をみていくと、◻️の日があります。これは土府日といって、土府神が地上に出てきている日です。

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これは4月のカレンダーですが、29日の欄に ◻️ があり、寅となっています。この日は土府日で、寅方位(東北東)に土府神が地上にいることを示しています。上記の説明をみると、寅方位は「子供の死亡」となっていますから、土府神にお供物をするなどは良いのですが、絶対に寅方位で土の工事などしない方がよいと考えておいた方がいいと思います。

 

土府日以外の日は、土の下(地下)にいます。

春は九尺(約2.727m)

夏は三尺(約0.909m)

秋は七尺(約2.121m)

冬は一尺(約30cm)

*季節は先程の四立日を基準に、春夏秋冬の解釈をしてみて下さい。

 

このように通常は土の中にいて、土府神のいる場所まで土を掘らなければいいのですが、それが土府日は土府神が地上に出てきているという事なので、深く掘らなくても、災いの影響が出てしまい、また影響が特段と高くなります。お気をつけください。

 

もっと細かく土の禁忌を足していくと、土公神、土府神に続いて、この後は  伏龍  が出てきたりします。昔の陰陽師なら、今の時期はどこに龍の頭があるのか、腹があるのかなどもみたりしますが、陰陽寮の陰陽生ではないので(当然ですが、笑)、知識としては、土公、土府で充分と思います。

 

 

中級編  あとがき

色々と書いて長くなっていますので、結構お腹いっぱいになってしまったかもしれませんね。笑。しかし、ここまできたら暦の中級クラスをクリアです。お疲れ様でした。