2021年 隠れ宿カレンダー 解説

2020年のカレンダーに項目を増やすなど変更を加えたので、2021年カレンダーには解説書をおつけしました。ブログにもカレンダーを1ヶ月ごとにアップしているので、同じものを掲載しておきます。太歳神や七曜陵逼など昨年の解説と同じような説明もあるかと思いますが、復習と思って読んでみてください。また特殊日など追加事項もあります。

 

はじめに
隠れ宿のカレンダーで使用している暦注は、下記の陰陽古書を元にしています。

賀茂家(勘解由小路・幸徳井)の陰陽書から、陰陽雑書(賀茂家榮著)暦林問答集賀茂在方著)吉日考秘伝(賀茂在盛著)増補頒暦略註(賀茂保救著)

安倍家(土御門)の陰陽書からは、陰陽略書(安倍泰忠著) 建天全書(安倍泰邦著)簠簋内伝(伝安倍晴明)となります。それ以外には、永久3年暦、建暦4年具注暦日など、昔の暦には何か書かれていたのか参考にしながら暦注を記載してます。平安時代などは陰陽道が盛んだったため、皇族や貴族の方は陰陽道の占技をよくご存じでしたが、現代では明治維新と共に旧暦が廃止され新暦に変わってしまいました。もちろんそれはそれで良いのですが、現代でも宝くじを買う時は「一粒万倍日」などゲンを担ぐ方も居られると思います。昔の方が使用していた暦注を現代でも少しわかりやすくできないかと考え、毎年カレンダーとして試行錯誤を重ねております。このカレンダーで昔の日本人が使用していたものを感じて、また日々の生活で神様の御加護を得られる日を選ぶ事ができる、そんなお手伝いができれば幸いです。


暦注(良い日を選択する①)
行事の解釈は詳しくご説明をしなくてもお分かりのものが多いと思いますし、今はネットでも調べられる時代なので、ここでは割愛させていただいて、昔の暦注に関して記載していきたい思います。

 2021年のカレンダーは、何か行動を起こすときに参考にする項目を増やしておりますので、その内容はどの様なものか見てまいります。カレンダーの中に「カレンダーの見方」という欄があります。そこに各項目の意味と番号がありますので照らし合わせて下さい。


13・神社仏閣を参拝するのに適した日
14・不動産の契約をするのに適した日
15・地鎮祭、土地の造成、基礎工事を始るのに適した日
16・上棟式、建物建築を始める適した日
17・門や外構工事をするのに適した日
18・台所のリフォームをするのに適した日
19・神棚、家の社や祠、先祖のお墓を祀るのに適した日
20・移転、引越、遷宮をするのに適した日
21・旅行をするのに適した日
22・結婚、入籍をするのに適した日

23・妊婦さんが腹帯始めるのに適した日
24・乳児の沐浴をするのに適した日
25・任命、開店開業、登記をするのに適した日
26・出納によい日
27・売買によい日
28・納車、車の乗り始めるのに適した日
29・雑草を刈りをするのに適した日
30・樹木の伐採をするのに適した日
買物・買い物、ものを捨てるのに適した日
爪切・爪を切って健康になる日
夢話・鬼に取り憑かれるので、夢を人に話してはいけない日
酒色・健康で居るため、飲食を控える、また性的な行為を控えるとよい日
沐浴・沐浴すると良い日


これらの各項目は、それぞれを役割を司るの神様たちの動きを把握しています。 どの様なものか「神社仏閣を参拝するのに適した日」で説明していきます。


【神社詣事】
吉日:神社詣吉日、隠神吉日、安社稷日、天願日
悪日:不解祭神日、厭日、厭対日、往亡日、道虚日、12支不解祭神日
 この中にある悪日には12支不解祭神日というものがありますが、これは干支としてよくご存知の12支です。子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥の12の神様を表していて、その中の寅神、戌神の2神は不祭神となっております。暦林問答集には 「寅日、不解祭、書云鬼神不享、不解除、反受殃也」と書かれていて、寅日は鬼が御供物のところに出てきている、御祓をしても殃が帰ってくるとなっているので、お祓いもしないほうが良いと判断します。

 例えば、2021年1月2日は寅の日になっているので、寅神様の日は祭祀やお祓いはしない、また控えたほうが良いとなります。この様に悪日の神様と吉日の神様がどの日に影響しているのかを見ており、それをまとめたものが暦、その内容を判断するものを暦注と言います。
 しかし暦注を細かく表示すると分かりづらくなるので、2021年の隠れ宿のカ レンダーでは、・印なし・ の3種類で表示しております。の日は、吉の 神様だけがいる日。印がない何も書かれいない日は、吉日の神様と悪日の神様が 両方いる、またはどちらも居ない日。○の日は、悪日の神様だけが居る日となっ ております。それぞれ自分に必要な項目を見て、を選んでみてください。

暦注(良い日を選択する②)
神社に参拝する、リフォームや引越、草刈りなどの項目は上記の通りですが、カレンダーの右側に「買物・爪切・夢話・酒色・沐浴」という欄があります。 これは個々に説明していきます。


買物:カレンダーの下の方にも説明がありますが、これは買い物をする、又はものを捨てると運気が上昇する日となります。黒字は1倍、黒字にピンクは2倍、 赤字にピンクは3倍の効果となります。例えば、黒字で「運」と書かれている日は幸運度が1倍アップすると解釈します。2021年5月23日は赤字でピンク の日ですから「財運」が3倍に上昇するとなります。

 

用:用事運の上昇。忙しくなるので、仕事など忙しくなりたい方に適します。

運:全体的な運気のアップに使用。

財:財運アップです。財とは現金、株などの動産を示しています。

続:継続運を指します。
人:対人運アップ。
服:衣服運の上昇。洋服との縁が増えます

食:陰陽書には美食とあり、美味しい食べ物に縁ができます。

地:土地運、不動産運の上昇。

物:陰陽書には宝物とあり、価値の高い物品との縁が上昇します。
爪切:爪を切るいうことは、切った部分から気が流れ出ることになります。それにより体に溜まった澱んだ気を外に出して、新しい気を取り入れます。昔の養生法の一つです。手・足・共と書かれている日は良い気を取り入れられる日、ピンクになってれば更に良い気の入れ替えとなります。
夢話:吉日考秘伝書に「第35不語夢日」とあります。夢には吉夢と悪夢があり、この日に該当する時は「守尸鬼(シュシキ)」という鬼が夢を見せていま す。この日は、夢を人に話すと守尸鬼に取り憑かれますのでご注意ください。もし話してしまった、又悪夢を見た時は下の呪文を7回唱えておくと良いでしょう

赫々陽々 日出東方 断絶悪夢 辟祓除不詳 急々如律令
カクカクヨウヨウ ニチデトウホウ ダンゼツアクム ヘキバツジョフショウ キュウキュウニョリツリョウ

酒色:養生法の一つです。体の気を整える為に飲食と性行為は控えましょう。
沐浴:北斗の神に厄を落としてもらう日。シャワーを浴びながら合掌して「太上虚無七元諸天尊(タイジョウキョム シチゲンショテンソン)」と唱えます。

 

太歳神日の過ごし方を見る①)
太歳神は「暦林問答集」に木星の精と書かれています。この神様は天と地を行き来しながら万物を観察して、この世の全てを統括する神様です。人間を管轄する神様の1神の為、非常に力の強い神で逆らう者は滅ぶと言われています。太歳神がいる方位で凶事、所謂争い事、また軍隊を出して敵と戦うなどは禁忌とします。もし禁止事項を破ると疫病にかかります。(2021年は丑方位:北北東)

太歳神東宮殿で玉女神とお会いしている時は「太歳対」南門を開いて人間世界の神々を集める時を「太歳前」西の広寒殿に四空四禅の六欲諸天の天王や天人大衆が集まり仁王斎会している時を「太歳位」北門を開いて五道冥官(地獄・餓 鬼・畜生・修羅・人間を五道といい、この五道の官吏が五道冥官)が出入りしている時は「太歳後」と言います。「太歳位」は目上を立てる、それぞれの立場や役割を果たす日、「太歳前」は主に仕事や、修行をする日、「太歳後」は健康に気を使う、自分より下の者を助ける、掃除をしてきれいにする日、太歳対は将来の事や、異性の事を考える日となっています。今日はどんな日か見るときに役立ててください。 また年に何度か太歳神は、宮殿を離れて冥府の死出山と三途川の間にある二十四の刀剣の林に移ります。この刀剣の林の名称は凶會(くえ)といい、この刀剣の鉄樹に花が咲くとき、天上天下の神々、冥官冥衆が集結します。そこで太歳神 は神々と「太歳会」という法会を行います。その日を「凶會日(くえび)」と言 います。要するに「凶會日」は、全ての神ではありませんが、この世あの世の神 様の多くが出払っていて、助けてくれる神様が少なくなっています。その為に暦では、陰陽のバランスが悪くなる、悪日(注意日)の一つとして扱われます。


39秘宿と七曜陵逼(日の過ごし方を見る②)
「宿曜経」正式には「文殊師利菩薩及諸仙所説吉凶日時善悪宿曜経」に書かれていて、菩薩と書かれていることからもお分かりの通り、仏教密教系の経典となります。陰陽道では「陰陽雑書」に三九秘法として「奎、婁、胃、昴安(中略)、命不可擧百事(中略)榮出家、吉。壊、凶。但厭、鎭、吉(以下省略)」 と書かれています。

 39秘宿は、月の周期により導き出しているもので、朔日(新月)は命宿、2日目は榮宿。3日目は衰宿、4日目は安宿と順々に月の神が天空で宿とする場所の27種で示しています。

 もう少し詳しく書いていきますと、月の神(太陰神)は新月の日(命宿)は日食と月蝕を管轄している羅睺という神の宮殿へ行き、一緒にいます。2日目の榮宿は土星の神の宮殿、3日目は水星の神の宮殿、4日目は金星(太白神)の宮殿など、この様に月の神は27日間に様々な神とお会いしているという事です。そのため朔日の命の日にお会いしている羅睺は気性の激しい神ですから「命:凶日:宿命に翻弄される日。月の影響により感情の起伏が激しくなります。諸事に控えめにして、何事も慎重にする。重要な決断は避ける。物事を始めてはいけない。今後の計画を立てるのが良い。できるだけ礼儀正しく、言動は慎重にする。身辺整理をして身だしなみを整えるのが良い」となっていく訳です。それぞれの39秘宿の過ごし方はカレンダーに記載されていますので、 日々の生活の参考にしてください。

 あともう一つ「七曜陵逼」という期間があります。これは月の神が訪れている それぞれの神、新月は羅睺、2日目は土星、3日目は水星、4日目は金星、5日 目は太陽、6日目は火星、7日目は計都、8日目は月、9日目は木星など、天空の神々が怒っている期間です。その為、月の神が他の神々の怒りに触れると、それが我々人間の世界に降り注ぎ、神の怒りを受けてしまう期間を七曜陵逼といい、 その中で最大に影響を受けてしまう日を六害宿(大悪日)と言っています。この期間は39秘宿の解釈が変って悪日が多くなり、吉日が少なくなります。カレンダーに「七曜陵逼始まり・終わり」と書いてありますので、この期間の時は気をつけて生活してみて下さい。(2021年1月1日~1月3日、9月7日~10 月3日が七曜陵逼となっています)


地神(土地の工事について)
土公、土府、伏龍、旺相と呼ばれる土地を司る神々。この神々のいる時や方位な どで土を掘る、リフォームなど工事を行うと災いが起こるとされています。土地造成、台所リフォーム、門や外構工事の欄で該当箇所の ○ をみての日を選 んでください。一応参考に土公土府の時期と方位を記載しておきます

    土公         土府

立春~  竈(台所)    丑方位(家の主人が亡くなる)

啓蟄~  竈(台所)    巳方位(家の主人が亡くなる)

清明~  竈(台所)    酉方位(家の主人が亡くなる)

立夏~  門・垣       寅方位(子供が亡くなる)

芒種~  門・垣       午方位(家の主人・子供が亡くなる)

小暑~  門・垣       戌方位(子供が亡くなる)

立秋~  井(水道)     卯方位(子供が亡くなる)

白露~  井(水道)     未方位(子供が亡くなる)

寒露~  井(水道)     亥方位(子供が亡くなる)

立冬~  庭              辰方位(家畜やペットに被害が出る)

大雪~  庭               申方位(あらゆる災難)

小寒~  庭               子方位(子供や子孫に被害が出る)

 

方位(良い方角を選ぶ)
方位の神は、歳神・月神・日神・時神とあります。カレンダーの左上に月吉神が 書いてあります。また
右下に毎日の吉神も書いてあります。

例題として、1月の吉方をみてみましょう。


歳徳:庚
天道:酉
天徳:庚
黄道:寅、卯
月徳:庚
月空:甲
徳合:乙
月合:乙
三鏡:庚辛癸

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上の方位図と見比べて下さい。1月5日より2月3日まで、歳徳神は西の少し南寄りの「庚」に居て、天道神は西の「酉」に居る、他の吉神も同様にみていきます。2月4日になると吉の神々は遊行(移動)して、他の場所へ移ります。この様にして歳徳神は一年に一度、それ以外の吉神は毎月移動していきます。歳の悪神がいても、月の吉神が巡っている場所は災いの効果がなくなり、 移動、転居、工事など良い効果が得られると判断します。歳の災いの神は月の吉神で抑え、月の災いの神は日の吉神で抑え、日の災いの神は時の吉神で抑えるのが、方位の基本となります。そのために歳の災いの神が何処に居るのかをみるより、月の吉神がどこに居るのかをみた方が良いという事になります。 日の吉神は、カレンダーの左下に書かれています。日の神々は歳の災いの神を 抑えられませんので移転や引越など大きな行事ではなく、旅をする、買い物に行く、温泉に行くなど日常生活で使用してみると良いと思います。しかし日の吉神に、更に月の吉神がいれば、ダブルで吉運が上がるという事になり、移転や旅な どの欄がであれば、各項目の吉神も加わりトリプルで吉神をお迎えできます。

祈願①(北斗七星へ加護を願う)
北斗七星を始めとした、竃神・司禄神・司命神・三台・天官・地官・水官 など多くの神々は、私たちがどの様に日々の生活しているのか、常に見ているのがお役目となっています。その中で北斗の神は、下記の日時に人間界へ降りてきます。北斗星へお願いをする、加護を願うのが「北斗日」となります。カレンダーの行事の欄に北斗下降と書いてあります。夜半(午後11時から午前1時)に北斗七星へ礼拝すると、願事を得られるとされています。時間が合えば、お祈りをしてみるのも良いかもしれません。


祈願②(家業の繁栄を願う)
神棚・家の祠に向かって、誦える(8回)呪文となります

金伯五金の気を呼び、全家の軸となる。百幸千福 ○○(名前や会社名など)の金箋に集まり、五方化徳、大皓金神、願わくば、◯◯に留まらんことを。奇一天心。寄贈万全。


祈願③(家の災いを祓う)
家の災いをお祓いする時の呪文です。神棚・竃神(台所)に向かって唱えます。

元柱固具、八隅八気、五陽五神、陽動二衝厳神、害気を攘払し、四柱神を鎮護し、五神開衢、悪鬼を逐い、奇動霊光四隅に、衝徹し、元柱固具、安鎮を得んことを、慎みて五陽霊神に願い奉る。

ゲンチュウコシン ハチグウハツキ ゴヨウゴシン ヨウドウニショウゲンシン ガイキヲジョウフツ シチュウシンヲチンゴシ ゴシンカイク アクキヲハライ キドウレイコウシグウ二 ショウテツシ ゲンチュウコシン アンチンヲエンコトヲ ツツシミテゴヨウレイシン二ネガイタテマツル


祈願④(禍の元になる鬼を退ける)
  アミョウ  シュクリョウ         キョジョウ  グウキョウ

東海神阿明、西海神祝良、南海神巨乗、北海神禺強

四海大神、百鬼を退け、凶災を蕩う、急急如律令

(鬼を避ける、病気祈願は37回、外出病室入室する時は3回、唱えます)

 

その他(特殊日・行事・聖誕等)
特殊日とは、尾宿と日曜、女宿と月曜などが重なると「金剛峯日」また胃宿と 日曜、鬼宿と月曜であれば「羅刹日」という様に、ある組み合わせになると特殊 日が発生します。例えば金剛峯日は、魔を祓うのに良いと書きましたが、これは太陽の力が強い日であり、太陽の熱で魔を焼き尽くすと解釈されます。その為この日は、日天子の真言を唱えるとよいと書かれています。細かく書くとたくさんとなるので、カレンダーの下に書かれていることを参考にしてみて下さい。

 行事に書かれている箇所で、6月15日は旧端午の節句と書きましたが、現代の解釈は5月5日と言われています。私の知る範囲では5月の初めての午の日と理 解しております。この辺りの解釈は現在確定していないものが多いので、古代の研究をされている先生方に期待したいと思います。

 あと行事の欄に〇〇聖誕と書 いてありますが、これは陰陽道に関わる神様の誕生日です。よく知られているのは4月8日灌仏会、お釈迦様の誕生日にお花をお供えしてお祀りしますが、それ と同じ感覚で、それぞれの神様の誕生日に手を合わせて神様をお祝いすると解釈してもらえればと良いと思います。参考に神様の役割を少しだけ。

・竃神:家にいる神様

・北斗南斗:北斗七星は人の生死、南斗老人星は寿命を司どる神様

・玉皇上帝・太上老君:星神の中心にいる位の高い神様

雷帝:雷神の中で最高位の神様

九天玄女陰陽道で使用する六壬式占を管轄する神様

・后土地祇:高い位にいる土の神様

泰山府君陰陽道ではお馴染みの冥府の神様

・薬王、五瘟:薬王はわかり易く薬の神様、五瘟は病気の神様

西王母女仙(女神)の頂点に立つ高位の神様
・上元 中元 下元:上元(天官)人の功罪善悪、地官(中元)人の行為、水官(下元)人の功禍を管轄する神様。因みに中元とは、現代のお中元の起源です

・太陽、太陰星君:太陽と月の神様
・増福財神:お金など財を司どる神様

・太乙救苦天尊:ご先祖を助けてくれる神様


あとがき
私がまだまだ知らない事が沢山ある中で無謀にも毎年カレンダーの作成をしてます。浅学のため解釈の不備があると思います。その際は指摘ご教授頂ければ幸いです。コロナが収束してませんが、このカレンダーを通じて神様の世界にふれ、また御加護が得られ幸せな生活になる事をお祈りしております。