荘子【大宗師 六 道とは何か】

大宗師  六  道とは何か
では、 「道」とは何であろうか。
変転する万象の根元に思考を遡らせてゆけば、どうしても「道」の存在を否定するわけにはゆかない。
しかしそれは、無としか表現のしようのないもので、心に感得することはできても、感覚で確かめることは不可能である。他の何物にも依存しない独立のもので、天地の開闘(かいびゃく)に先立って存在した。 鬼神も上帝も天も地も、その淵源はすべて「道」である。天空の果てよりも上にあって高いといえず、大地の底よりも売下にあって深いといえぬ。天地に先立って存在してしかも新しく、悠久の過去より存在してしかも老いぬ。


この「道」を得て、稀韋氏(きいし)は天と地とを連結させた。伏戯(ふっき)は陰陽二気をつかさどった。北斗は未来永劫にわたって天体運行の指標となった。日月は永遠に万物を照らしつづけることになった。堪坏(かんぱい)は「道」を得て崑崙山(こんろんさん)の神となり、馮夷(ふうい)は黄河の神となり、肩吾(けんご)は泰山の神となり、黄帝は神仙となって昇天し、顓頊(せんぎょく)は北方の帝となり、禺強(ぐうきょう)は北海の神となり、西王母(せいおうぼ)は少広山(しょうこうざん)に棲む不老不死の神仙となった。また、彭祖(ほうそ)も「道」を得て、舜の時代から五伯の時代まで生き長らえ、博説(ふえつ)も股の高宗を補佐して天下を平定した。後、昇天して東の空に輝く星の1つとなった。

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ここで少しだけ解説をします。上記に道教の神々の名が出てきます。その中に陰陽道に関連する神名もあります。陰陽道を知る方ならお分かりかもしれませんが、上帝は玉皇上帝を指していますし、泰山の神は泰山府君とお分かりだと思います。また禺強はあまり聞いたことがないかも知れませんが、この神も陰陽道にあっては鬼を避ける時に、この神の力を借ります。

 

【百鬼を避ける咒】

東海の神、名は阿明[あみょう]

西海の神、名は祝良[しゅくりょう]

南海の神、名は巨乗[きょじょう]

北海の神、名は禺強[ぐうきょう]

四海の大神、百鬼を退け、凶災を蕩う[はらう]

急急如律令

 

百鬼を避ける時、不病祈願は37回を唱えます。外出、病室へ入る時なら、3回唱えてから外出したり入室したりします。