2013年の干支

明けましておめでとうございます。
2013年(平成25年)は「癸巳(みずのとみ)」の年にあたります。そこで「癸巳」とは、どの様な意味があるのか、簡単ですが古書の説明をまとめてみます。

まずは、干支五行説における意味ですが、十干とは、甲(きのえ)乙(きのと)丙(ひのえ)丁(ひのと)戊(つちのえ)己(つちのと)庚(かのえ)辛(かのと)壬(みずのえ)癸(みずのと)となり、「癸」は一番最後にくる干です。五行における配当は水行、季節の配当は季冬、いわゆる冬の終りを示します。

 壬癸(みずのえ、みずのと)は五行説で水行となります。水行の定義は「潤下(じゅんか)」といい、水は万物に潤いを与えて育てながら、高い所より低い所へ流れていき、すべてを平らにして等しくしていくということになります。また水の徳は「智徳」です。智は外に対しては物事の本質を正しく把握するという形であらわれ、その活動は道理に従ってテキパキと処理をするとなります。更に智の徳は、自分の心を微妙な言い回しで表現をしては人の心を動かし、和らげながらすべてを潤していきます。また伝統を重んじつつ革新の心を忘れず、習得を繰り返すという意味もあります。

 次は癸(みずのと)ですが、癸とは揆(き)で、度る(はかる:度量)という意味を持っています。度ると言うのは、物を測るための規則や基準、更には原理原則に基づいて、色々と計画を立てること、いわゆる計(計画)に通じます。前年の壬(みずのえ)では、様々煩雑な問題が増大しています。それを癸(みずのと)でしっかりとした原理原則にそって企画や計画を立案し、一致協力をして諸問題を処理する、着実に実行していく事と言われております。

 次に、癸(みずのと)の後ろにあるのは、巳(み)となります。これは知っている方も多いとは思いますが、十二支の配当になります。十二支は「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」となっています。では巳には、どの様な意味があるのでしょうか。巳の字は、冬眠から覚めた蛇が地表に這い出す形を表しています。寒い冬を地中で過ごした蛇が冬眠から目を覚して、春の暖かくなってきた地上で新しい生活を始める事を示しています。したがって、巳(み)は起(き)に通じます。しかし前年の辰(たつ)では、改革に伴う障害が発生しています。更に巳の年はこれまで隠れていた諸問題が表面化してくるので、従来の慣習などに染まってしまった、だらだらした生活から抜け出して、発展するための新しい歩みを始めることを意味していると考えられています。陰陽寮のテキストと言われる古書「五行大義」にも、古い形様や状態、すなわち古い姿、形や行動形式を洗い去ることと書かれています。

 癸(みずのと)と巳(み)をまとめていきますと、これまでの状態に一旦ケリをつけて、新しい段階へ進むことを示しています。今年は新しく再出発をするにあたって、原理や原則(規則や基準)を定めて、それに沿った計画を立てていくこと。その規則基準に沿って一致協力をして諸問題を処理する、着実に実行していくことが必要です。
 対人関係においては、水の徳は「智徳」ですから、水が上から下にゆるやかに流れていき、下流に至ってようは平らになります。上のものが下のものに対して知恵をつかい、自分の心を柔らかな言い回しで表現して、そして人の心を動かし、人の気持ちを和らげながら、人を潤し育てていくとよいでしょう。水は少ない量ですと物事を動かす力は弱いのですが、大量の水であれば状況に大きな影響をあたえます。今年は個人で動くよりも、一致団結をして行動した方が、より大きな成果も期待出来るのではないでしょうか。

2013年が良い一年になるように願いを込めて

2013年1月吉日 
法師陰陽師 小角