カレンダーの説明

来年(2020年度)の隠れ宿カレンダーを現在作成しております。予定では2019年11月より配布できるよう進めております。もう少しお待ちください。

 

今回は少し暦の事をお話ししてみましょうと思います。

f:id:ozuno:20190823040417j:image

これは安倍晴明公より続く、陰陽道の正当継承者の方が作られている来年の暦になります。上の段から順々に、新暦の日付や12直、28宿など色々と書いてあります。昔から続く暦は現代では少し意味が分からない人が多いので、隠れ宿では暦をカレンダーとして分かりやすい様に作成しております。

f:id:ozuno:20190823142615j:image

これは隠れ宿の9月カレンダーですが、カレンダーに建築、移動、祝儀、祈祷などの所に、塗りつぶした赤丸の印、ただの赤丸、黒く塗りつぶした黒丸などが書かれています。それらはどの様にして決めているのか説明をしてみます。神仏に対してお祈りをする適した日を決める祈祷の項目で、吉日と悪日を見てみましょう。

f:id:ozuno:20190823042820j:image

写真は来年カレンダーになる前のデータです。写真なのでちょっと見づらいとは思いますが、上の方に新暦の日付が横に並んでいて、縦に10干、12支、12直などが配置してあります。さらに下の左側に行事、その下に神事とありますが、吉日と悪日が書いてあります。赤い日が吉日、黒字が悪日です。

【吉日】助けてくれる神様がいる日

社稷日、祠祀日、祭天日、神事日、隠神日、祠宅神日、三宝吉日

【悪日】邪魔をしてくる神様がいる日

不祭神日、八専日、伐日、厭日、厭対日、往亡日、道虚日、六蛇日、九虎日、七鳥日、八龍日、晦日大過日、狼藉日、滅門日、不禮佛日

 

1月29日を縦に見てみますと、隠神日、祠宅神日、三宝中吉日と助けてくれる神様が多くいる日となります。複数の助けてくれる神様が多い日はカレンダーだと、塗りつぶした赤丸日として表示してあります。こういう日にお祈りをすると色々な神様が助けてくれます。

次に1月20日を見ると、不祭神日、滅門日となっていて、邪魔?(笑)をしてくる神様だけがいる日となります。このような場合はカレンダーで黒く塗りつぶした日になります。こういう日は助けてくれる神様が不在で、邪魔をしてくる神様が多いので、ご祈祷をしても効果が薄くなります。邪魔をするというのは不適切な表現かも知れません。神様の役割は複雑なので、喧嘩をさせる事を目的とした神様もいますし、出かけたら帰ってくる事を邪魔する神様なら、出かけた先でしっかり覚悟を決めて、そこで結果出せるように頑張りなさいという解釈もいいと思います。(そのかわり帰ってこられませんが…)

 

また別の日を暦で見ていくと、吉日と悪日が両方ともある日があります。暦で良い日なのか悪い日なのか判断する基準は、建天全書[安倍長親編著:安倍泰邦註解]にも書かれていますが、陰陽のバランスです。

 

陰陽道には両極として、安倍家(天文家)と加茂家(暦家)がありましたが、安倍家のもう一方の陰陽家、加茂家には秘伝書「吉日考秘伝」や「暦林問答集」があります。それを参考に結婚などを見ると、秘伝書には陽将日というものが書かれています。そこには「娶婦、殺夫」とあり、意味として「結婚すると女性は夫を殺す」となり、また陰将日というものもあって「娶婦、害女害姑、大凶」となってます。漢文の字を見てもらうと、おどろおどろしい漢字が並んでいるので悪日とわかると思います。娶婦は婦人を娶るは結婚と解釈して、結婚すると、将来に姑などを含めた女性のトラブルに巻き込まれる日で大凶となりますよと、将来そんなことが起こることを神様から宣言されていていて、心情的にその日には結婚はしたくありませんね。

 

このように暦は、様々な意味を持つ神様の動きをみて、陰陽のバランスで悪日と吉日を見ています。何か始めるなら、助けてくれる神様がいる日に始めたいものです。その為に昔の方は日々の生活でも暦を見ていましたが、明治時代になり、世界の国々から近代化の波が押し寄せるようになった事もあり、明治政府は天文台を設置をして、惑星など星を科学的に分析するようになり、暦の神様の需要性が段々と薄れていってしまいました。

現代では大安でいい日だから結婚式を挙げる、友引だからお葬式は憚れるなど、暦として根拠の怪しいものが、覚えるのに簡単な事もあり、多くの人に信じられてしまっています。それがいいのか悪いのかは脇に置いておいて、少しでも本来の暦の形に戻していきたいなと思って、カレンダーを作成しております。

せっかくなので、暦データをもう少しのせてみます。

f:id:ozuno:20190823150143j:image

まだデータは入力途中なので参考程度になりますが、土を動かしてもいいかを見るには「犯土事」、建物を建て始めるのに適した日の知るには「立屋事」立屋を壊す、家を解体するなら「壊屋事」、引っ越しをしていい日かは「移徒事」、旅行など長く出かける日を見るときは「出行事」、結婚などは「嫁娶事」、位を授けるなど場合は「加冠事」、偉い方に会う日を選ぶなら「謁見貴人事」、体を清めるのにいい日は「沐浴事」、爪を切るのを判断するのは「除甲事」、薬や治療に関しては「服薬療病事」を見るなど、暦の項目は沢山あります。

 

秘伝書にある爪を切る良い日を見てみましょう。

・丑の日(手の爪)

・寅の日(足の爪)

・月曜日、火曜日(手足の爪共にOK)

・6日、16日、晦日(手足の爪共にOK)

・甲午の日(手足の爪共にOK)無病

・庚の日(足の爪)

・壬の日(手足の爪共にOK)

・上弦月の日(足の爪)終身無病大吉

晦日寅時(手足の爪共にOK)長生無病

晦日とは旧暦で月の最後の日、寅の刻は午前3時〜5時まで]

また庚申経には、寅申の日に手の爪、午の日に足の爪を切ると三尸が去っていく、又は治る。7月16日に手足の爪を切ると、腹の中の三尸を除くことができると書かれています。

暦になんで爪?となると思うのですが、爪を切るということは切った場所から体内の「気」が出ていったり、外から気が入ってきたりします。現代的にわかりやすく考えれば、皮膚を怪我して血が出ていく、また悪い血を出してしまう、逆にその傷口から破傷風など菌が入ってくるという感覚に近いかもしれません。その為、悪いものは出す、また良いものを取り込むという観点から、爪を切る日があります。

 

少し長くなってきたので、そろそろ終わりにしますね。笑。また機会があれば、暦の事をまた書いてみたいと思います。

 

隠れ宿の暦(カレンダー)をみて良い日を活用して、日々少しづつでも運気を上げる、病気を避けるなどしてみてください。あと来年のカレンダーは方位も入れられると良いのですが、時間的にも、労力的にも間に合うようであれば、なるべくは入れられるように頑張ります。しかし、期待しないで待っていてください。笑。ではまた。